東海大学 松前記念館(歴史と未来の博物館)

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平和な社会の実現を目指して

青空教室で講義する松前重義
青空教室で講義する松前重義 1956-58年頃(昭和31-33)
平和な社会の実現を目指して

『松前重義 その国際活動Ⅰ』(東海大学出版会1,1991)より
これまでの歴史を顧みるとき、「平和」という言葉を盛んに唱えたのは政治家であり、政治家は平和のために存在しているかのごとく見える。だが政治家ほど口で平和を唱えながら、戦争への道を歩いたものはない。かつてヒットラーは、口を開けば平和を唱えたが、その彼がついに東欧諸国の侵略から、世界大戦にまで誘導するに至った。スターリン、ルーズベルト、あるいはわが国にしても同様である。日本は「大東亜共栄圏」を掲げて戦争に突入した。

世界大戦の主役たちは、すべて口を開けば「平和、平和」と唱えた。にもかかわらず、彼等は戦争への道を歩み、あの惨たんたる第二次世界大戦を展開したのである。このように平和というものは、人類が到達したいと念願し、希望しながら、真の平和の時代を持ち来すことができないでいる。平和の問題はそれほど悩み多い人類の歴史的課題である。

学生募集ポスター
学生募集ポスター 1959年(昭和34)
愈々建学の理想に進まう

松前重義『東海大学建学史』より
本学の建学の精神の一つは「若き日に汝の思想を培え」である。今日の様な物質文明の時代において、我々は精神文明との両立こそは真の文明の姿であり、人類の幸福に通ずるという理想・思想を以ってこの建学の精神の中心とした。物質文明なるものを否定はしない。その存在は尊ぶが物質文明のみが真の文明ではない。物質文明が本当に人類の為に貢献し、社会歴史に大きな役割を持つ為にはどうしたらいいか。精神文明の洗礼を受けてのみその物質文明は生きる事が出来るのである。

この様な教育思想の下に思想教育として歴史観、人生観、世界観、宇宙観等、人類生活の基本的な課題と取り組んで、これを基盤とした教育を実行して今日に至っているのである。本学のこの基本的な教育理念を我々は、今後なお永遠に継承していかなければならない。

もう一つは、その基本的概念の上に立って、理科系の学生と文科系の学生に対して共通な思想教育を行なおうとするのである。

 理科系に対して全学共通の世界観、歴史観、人生観の外、宗教、哲学等を教えると同時にまた文科系に対しても前記共通の課程の外、科学技術の歴史、自然科学概論等の問題について相互理解を深め、お互いに歯車がかみあい、共に手を携さえて社会の重要なるエネルギーとなることを目標として教育する事こそ、最も調和のとれた教育である。

 このような教育の基本方針こそは我が大学の進むべき道である。